口唇口蓋裂という病気

先日の薬師岳登山の後、ふと家族の事をブログに書こうとした事があった。ただ、言おうとする事が伝わるか、そして書きながら、ん？て思いが過ぎり、結局削除したんだけど、昨夜の、口唇口蓋裂の子の記事を読み、モヤモヤがずっと続いている。スマホからの更新なんで、見づらいかもですが、ご了承下さい。

うちのチビが生まれた時、医者に「生後1週間以内に心臓の手術をしないと死にます」と言われた。出産予定時刻から4時間経ち、ようやく会えたチビは、保育器の中にいて、そして口唇口蓋裂でもあった。正直、マヂすか…としか言いようがなかった。その手術も、成功確率は50%にも満たないと言う。もう、マヂすか？としか言いようがなかった。横で泣き崩れる母親に、たかだか5割の確率の手術なら、俺の子なら余裕やんとしか言えなかった。それが僕自身の本音でもあったし。その後、3度の大きな手術をし、2年間のICUでの入院生活。最初の1年なんて、ずっと麻酔で寝かせていた。意識を戻すと、痛みで死ぬかもしれないから。少しずつ麻酔の量を減らし、起きてる時間を増やしていく。そうすると、今度は知的障害があるかどうかが気になって来る。よくある話だから。知的障害ではなかったが、2年間の麻酔生活もあり、発達障害と告げられた。もちろんその間も口唇口蓋裂であり、その手術は、身体が大きくならないと出来ないらしく、成長を待つしかなかった。口唇口蓋裂とは、口唇、まぁ口と鼻の穴が繋がってる病気と、上顎が割れてる口蓋裂のセットの事。ホッズと呼ばれる上顎にする蓋を作り、毎週病院に通う。口唇裂は、あまり小さい時に手術をすると良くないらしく、なかなか手術をしてもらえない。チビの小さい時は、うちは2キロの酸素ボンベを持って出かけていた。たまたまレストランで横に座った子供が、チビの顔を見て、「オバケいてる」と言い、その子供の母親は、「見ちゃいけない」と言った。耐えれますか？これ男親の僕だから耐えれるけど、母親にしたらとんでもない苦痛やったと思う。これが頻繁にあるの。これが現実。

チビは今7歳になった。小学2年生だ。でも、心臓のこともあり、今日死んでもおかしくないし、20歳で死んでもおかしくない。大袈裟でもなく、本当にそうなの。それでもチビは普通に生きてるし、普通に成長してる。僕は特に何も考えず、日々色んなことを経験させたいと、連れ回している。母親は、日々不安を抱えている。いつ死ぬかわからないから。これもまた現実なんだ。そういう子を持つ親の気持ちは、他人には絶対にわからない。五体満足。乙武さんのように、五体不満足と言えるほど、強く育って欲しいと願う。

見殺しにした親、それを語る医者。子供を産んだから親になれるのではないんだという事。子供の成長と併せて、親となれるという事。親にしてもらってるという現実。他人にはわからない葛藤を持ち、生きていかなければならない。僕には見殺しにする選択肢は、当時たまたまなかっただけ。それは、手術をしてくれた医者の人柄にもよると思う。老練な彼は、5割の確率でも、僕には簡単ですよと言ってのけた。任せる以外の選択肢のない僕達にとって、これほど強い言葉はなかった。そして、それでもダメならしゃあないと。しつこいようだが、これは男親の発想。母親はそうではなかったやろうけどね。あれから7年。あまりにも早く過ぎた7年だった。自分が死ぬのが先か、チビが先かはわからない。わからないものは考えても仕方がない。チビ本人も分かってはいなしね。それが僕達親子の生き方。

46歳となった今、周りから見れば複雑な家族なんだろうが、僕には4人の娘が出来た。血を分けたのは1人かも知れないが、そんな事はどうだっていい。ホントに些細な事なんだ。大切な、ホントに大切な家族なんだ。何にもしてあげれないことがもどかしく、苦しく思う時もある。彼女たちの為に、必死で生きる嫁さんを誇りに思う。それを感じているチビ達を見て、心から嬉しく思うんだ。

家族の在り方。それぞれ違うだろう。でもどういう子供であっても、大切にしてあげて欲しい。全てを受け入れられないのなら、コンドームをしなさい。ピルを飲みなさい。簡単なことだろ？見殺しにした親がどうとか、医者がどうとか言う前に、家族を愛しなさいて事。 1人で親にはなれないんだと言う事。 1人で子供にもなれないんだと言う事。生きている現実は、生かされているという現実でもあり、平凡でも、毎日が同じであったとしても、それが普通なんだよ。幸せって、そういうもんだろ？

愛して欲しけりゃ愛しなさい

それでも、人は人なんだ。気にしても仕方がない。今一度考えて欲しい。自分の人生は、自分にしか描けない。ゴチャゴチャいう暇あったら、一生懸命生きなさいってこった‼︎

ps. たかだか5割の確率、俺の子なら余裕だろって言った時、嫁さんが、「う、うん」とどもったのは、今持って解決していない…